前節、ヴェルディはアウェイで徳島に2-0で勝利し、今季アウェイ初勝利を飾りました。1点目はオウンゴールでしたがバスケスの見事なクロスがあったからだし、2点目は梶川のFKは相手GKを完璧に欺いた素晴らしいものでした。文句無しの快勝です。
この勢いを繋げたいところですが、今節の相手は藤枝MYFC(マイエフシー)。サッカー王国・静岡から清水と磐田に続き、今年J2に昇格した新勢力です。
J2では新参者ですが藤枝市はサッカーと非常に深い関わりがあり、藤枝MYFCもJ3初年度から参加しています。実は私、その頃から藤枝MYFCには注目していました。企業で働きながらサッカーをしている選手達の姿に感銘を受け、密かに応援していたチームが昇格して、ヴェルディの前に立ちはだかる敵になるとは……。ちょっと複雑な気分です。
個人的な思いはともかく、敵となった以上、戦って勝たねばなりません。ヴェルディのスポンサーである京王観光がバスツアーを組み、多数のヴェルディサポが藤枝に向かうのを横目に、私は長距離バスで静岡へ。ツアーの申込みが始まる前に、こっちの手続きしちゃったのよねえ(苦笑)。
順調に行くかと思われたバス旅行でしたが、東名高速は工事の為に大渋滞。バスは安いけど、こういう事があるから困る。予定より40分も遅れて静岡に着き、そこからJRで藤枝駅へ。
流石はサッカーの町の駅。藤枝駅は藤枝MYFCを応援する藤色に染まっていました。ここからシャトルバス(何と無料!)に乗り、20分ほどで山の中にある藤枝総合運動公園サッカー場へ初来訪しました。
このサッカー場、ゴール裏は今では珍しい芝生席。収容人数は13,000人ですが、Jリーグは芝生席を認めていないのでJリーグ公式の収容人数は5,937人となっています。
こじんまりとしたスタジアムですが、サッカー専用の競技場なので非常に見易く、ピッチコンディションも良好。またバックスタンドが新設されており、来年にはもっと良いスタジアムになるみたいで楽しみです。
マッチデープログラムの表紙を飾っている横山暁之選手はヴェルディユース出身。去年のJ3ベストイレブンに選ばれ、藤枝の背番号10を背負っています。古巣との対決にはかなり燃えており、プレイからも伝わりました。
藤枝MYFCのマスコットキャラ、蹴っとばし小僧です。いえ冗談ではなく、これが本名なんですよ。見た目も名前もインパクトありますね。なお尾っぽを見れば分かるように、モチーフはフェニックスです。
バスツアーで来たヴェルディサポも加えて、藤枝のアウェイゴール裏は緑一色に染まりました。
ごの試合、アウェイ側のゴール裏席は完売しました。こんなに沢山のヴェルディサポが来るとは私もビックリ。みんな初めてのスタジアムに来てみたかっただろうし、静岡なら日帰りできますからね。
では試合について。
初顔合わせの相手には苦戦する印象が強いヴェルディ。去年も盛岡にホームで引き分けに持ち込まれ、堀前監督が去る原因になってしまいましたよねえ……。まああちらのホームではきっちりやり返したけど。
藤枝はここまで2勝2敗。開幕から連勝した後に連敗という浮き沈みの激しいチームですが、どんな状況になっても諦めず、アグレッシブなプレイスタイルを貫く姿勢は見てて楽しい。若手が多く、勢いに乗せたら怖いチームでもあります。
油断すれば一瞬でやられる、気を引き締めて臨もうと考えていたら試合開始。すると予想外の展開に。開始直後の前半1分、相手のパスを齋藤功佑がカット。そのままゴール前まで突き進み相手GKに迫ると、そこで左へパス。走り込んでいた阪野豊史が落ち着いて決めて、ヴェルディが今季初めて前半で得点しました。あまりに早い得点に喜びよりも驚きの感情が大きかったです。
この先制点で勢いに乗るヴェルディは13分、阪野が絶妙なセンタリングを上げると、これに梶川が走り込んでヘディングで追加点! 2試合連続ゴール、しかも珍しいヘディングで決めるとはノッてますねえ。
まだまだヴェルディの時間は続く。18分、バスケス・バイロンが右からボールを上げると、今度は阪野がヘディングで決めた! 前節はベンチ入りさえ出来なかった阪野、この日は2ゴール1アシストの大活躍でした。
これでヴェルディの勝利はほぼ決まりましたが、開き直った藤枝が猛攻を仕掛ける。積極的なプレイにヴェルディは押し込まれ、なかなかチャンスを作れなくなります。しかしここまで僅か1失点の守備が今回も機能し、藤枝にゴールを許しません。ですがヴェルディもチャンスを物に出来ず、前半を終えます。
後半からは藤枝は絶対的エースの渡邉りょうを投入。流石に彼は他の選手とは別格で、藤枝の攻撃力は大幅にアップ。後半の立ち上がりから藤枝が試合のペースを支配し、ヴェルディを苦しめました。
しかし平智広や宮原和也、そして守護神マテウスが奮闘してゴールを守り切ります。特に60分の決定機を防いだのは見事でした。
するとピンチの後にチャンスあり。62分、相手のパスミスでボールを奪った斎藤が単独で駆け上がり、そのままシュート! ボールは相手GKの股を潜り抜け、決定的な追加点を獲得しました。決め切れないと相手に決められる、ヴェルディも何度も味わったサッカーあるあるです。
斎藤もですがヴェルディは藤枝の選手のミスを逃しません。恐らく監督から狙うよう指示されていたのでしょう。若いチームは勢いに乗ると怖いけど、ミスも多い。そこを突いてきた城福監督、流石は歴戦の名将です。
終盤に入った73分、今度は福岡から期限付き移籍した北島祐二が魅せました。GKも含む相手選手7人の頭を遥かに超えるループシュートが、藤枝のゴールに吸い込まれていきました。
5点も取ってもヴェルディは攻勢を緩めず、また藤枝の反撃をしっかりとした守備で退けて試合を締めました。5-0。守備は良いけど点が取れないと言われていた城福ヴェルディ、その低評価を覆す快勝です。
相手のミスに助けられた部分も大きいけど、そのミスを生んだのはヴェルディの積極的なプレイから。決めるべき時に決めた勝負強さも素晴らしく、確実に強くなっているのだと信じられます。
勝利のラインダンス、アウェイでは長く踊れませんが格別の味です。
これでヴェルディは3勝1分け1敗で勝ち点10。清水や長崎、徳島など昇格候補と言われたチームが苦戦している中で、早くも二桁に載せました。
このまま最後まで頑張ってほしいのですが、次の相手は熊本。去年、初戦から8試合無敗だったヴェルディですが、熊本に敗れてから調子を崩して低迷。一方で熊本は勢いに乗り、昇格プレーオフに進出。J1昇格まであと一歩にまで迫る大躍進を遂げました。ついでにヴェルディは熊本のホームでも負けました……。
明暗分かれたあの一戦から、ほぼ1年。再び味スタで戦えるのはサッカーの神様の計らいでしょうか。あの時の雪辱を晴らして、今年こそもっと上を目指そう。頑張れ、東京ヴェルディ!!
大敗した藤枝ですが、藤枝のサポーターに悲壮感は無く、チームを悪く言う人もいませんでした。街を歩いていたら藤枝のサポに声をかけられ、「今日は来てくれてありがとうございました」とお礼を言われました。流石は蹴球都市藤枝のサポーター、心が強い。私もこうありたいものです。