ガーネット(以下ガー)「はい、それでは!」
仁虎(以下ニコ)「皆さん、ご一緒に」
ギアボルト(以下ギア)「ヴェルディサポの方は共に歓喜を、そうでない方はスルーしてください。せーの、」
3人「「「東京ヴェルディ、ホーム2勝目&西ヶ丘での今期初勝利、おめでとーございます!」」」
ガー「あー嬉しい、本当に嬉しいわ。西ヶ丘は天皇杯で負けた印象が強くて足を運びたくなかったし、相手の京都サンガは私がヴェルディサポになってから一度も勝った事がない相手で、試合前はメチャクチャ不安だったわ」
ニコ「今年もあちらのアウェイ戦では負けましたからねえ……。スコアは1-0でしたけど内容は完敗でした」
ギア「はっきり言ってヴェルディとは選手のレベルが違います。現在J2得点王の大黒将志に、J屈指の良GKと言われるオ・スンフン、攻撃陣は中山博貴に山瀬功治、守備陣はバヤリッツアに駒井善成、更に徳島から昨年ヴェルディ戦でゴールを上げたドウグラスを獲得して、前節は福岡に3-1で圧勝しました」
ガー「そして今の京都を率いる川勝良一監督。二年前に私がヴェルディを好きになった時、監督がこの人だったのよ」
ニコ「結局、秋にチームが失速してその責任を取る形で辞めましたが、今度は敵チームの監督として帰って来ました。南秀仁や杉本竜士など、川勝さんが監督だった頃に才能を見出された選手も多いんですよ」
ギア「人材発掘の手腕には長けているようですが、南選手も杉本選手も川勝時代にはほとんど出番がありませんでした。才能を見出すのは得意でも、育てるのは下手なのかもしれません」
ガー「でも川勝監督が見出した選手が、今のヴェルディの主力として活躍しているのよ。川勝さんの事はもっと評価してもいいと思うわ。敵として戦う時は容赦しないけど」
ガー「私は見に行けなかったけど、後半戦は2位の磐田と松本を相手に1勝1分けと上々な成績でホームに戻って来たヴェルディ。調子が上がってきたチームへの期待と不安を胸に、東京都北区にある味の素フィールド西が丘にやって来たわ」
ニコ「ここは都内で唯一のサッカー専用競技場で、ナイター設備も整っています。ですが収容人数は7,000人ぐらいでJリーグのスタジアム基準を満たしていません。なのでヴェルディや横浜FCなどの準スタジアムとして使われています」
ギア「そういえば10月に横浜がここで試合をするそうです。相手はアウェイ動員に定評のある松本山雅。スケジュールを組んだ人は松本の動員力を甘く見ていたんでしょうか? 西が丘に人が溢れますよ」
ニコ「うちとの開幕戦では、松本サポだけで8,000人以上来たんですよね。大丈夫なんでしょうか? アウェイ側のチケットはプラチナチケットになりそうです」
ガー「さて、ここ最近ヴェルディで話題になった事といえば、このコラボよね。このコラボを見てニヤリとした人は、某やる夫作品を見た人ね。私もだけど」
ニコ「僕達も大ファンな「とある科学の超電磁砲」の舞台は立川市をモデルにしていて、今回同じ市をホームタウンにしているヴェルディとコラボする事になりました。売店にコラボユニフォームが飾られていましたが、Mサイズは即日完売したそうです」
ギア「水戸のガルパンの二番煎じと言われながらもこの売上、アニメファンの熱意恐るべしです」
ガー「およそ半月ぶりのヴェルディ君よ。松本でのボランティア活動の疲れも無いみたいで、子供達と触れ合ったり、記念写真に応じてくれたわ」
ニコ「西ヶ丘のあちこちにヴェルディのポスターが貼られていました。GKの佐藤優也選手も写っていますが、磐田戦の怪我は当分治りそうにないみたいです……。一日も早い復帰を祈っています」
ギア「第二GKの柴崎貴広が天皇杯で怪我をした直後に、正GKまで離脱する。普通なら守備が崩壊していますね」
ガー「でも、ヴェルディはそうならなかった。土曜日の松本戦でプロ4年目で公式戦デビューしたキローラン菜入選手が、佐藤選手の穴を埋めてくれたわ」
ニコ「GKというポジションは、こういうアクシデントが起きないと控え選手が注目されません。仲間の不幸を喜ばなければいけないなんて、因果なポジションですよねえ……」
ギア「それがプロの世界というものです。見ているこちらから言えば、ゴールを守って無失点に抑えてくれるのなら誰が守っても構いません」
ガー「西ヶ丘はとにかくピッチとの距離が近いのよ。相手チームとはいえアップしている選手を凄く近くで見れるし、選手が蹴ったボールが客席に高速で飛び込んでくるわ」
ギア「あなたの所にも飛び込んできましたね。片手で払いのけたのには驚かされました」
ニコ「僕が庇うよりも先にバシッ!とボールを弾きましたね。本能で反応した感じでした」
ガー「いや、結構速かったし重かったわよ。練習で蹴ったボールでさえあの衝撃、本気で蹴ったボールが顔に当たったら、無事じゃ済まないわね。子供に当たらなくて良かったわ」
ニコ「子供と言えば、今回はジュニアチアリーディングのチームを招いて、試合前にチアパフォーマンスをしてもらいました」
ガー「きゃー、可愛い! 写真で見ても可愛いわねえ。ああ、ゴール裏に来てくれればもっとたくさんの可愛い写真を撮れたのに」
ギア「可愛い物には目がないのは知っていましたが、見境なしですか。ロリコン乙」
ニコ「京都サポの皆さんです。平日の夜にも関わらず、たくさんの方が来てくれました」
ガー「この日の観客数は覚えやすいわよ。なんと3,333人! 私が行ったから起きた奇跡ね」
ギア「来場者全員がそう思っていますよ。先週まで行くかどうか迷っていたくせに」
ガー「そ、それは言わないで。磐田と松本に行かなかったのは、本気で後悔してるから……」
ニコ「ここからは試合の感想です。先の松本戦の疲労も完全に取れないまま、難敵京都をホームに迎えたヴェルディ。僕は京都の得点力の高さと、2試合連続ゴールで勢いに乗っている杉本竜士選手を中心にしたヴェルディ攻撃陣の殴り合い、点の取り合いになると思っていました」
ギア「私は京都がヴェルディを圧倒すると思っていました。疲労はお互い同じですが、京都の選手は個々の能力が高く、よく鍛えられています。去年のホーム戦で0-5と蹂躙されましたが、あの時の再現になるのではないかと」
ガー「でも今年の、ううん、リーグ後半戦のヴェルディは私達の予想を超える程に成長していたわ。京都の選手に一歩も退かず、それどころか堂々と渡り合い、自分たちのペースで試合を展開していた。そして前半38分!」
ニコ「南秀仁選手が繰り出した絶妙なスルーパスに、キャプテンの田村直也選手が反応してシュート! さすがのオ・スンフン選手もこれは止められず、田村選手のヴェルディ初ゴールで先制しました」
ガー「若手とベテランが入り混じった複雑なチームを、入団して一年目でキャプテンとして纏めてきた直也のゴールには、ヴェルディサポなら感動しない人はいないわよ……。本当によく決めてくれたわ」
ギア「しかし京都の攻撃力の高さは、前節で証明されています。それにオ・スンフン選手も奮闘し、この後はゴールを割りません」
ガー「後半の常盤との一対一は、常盤が決めてくれると思ったんだけどねー。常盤は大分戦以来、ゴールから遠ざかっているのよね。前より上手くなっているのは分かるから、そろそろ決めてほしいわね」
ギア「審判の判定もおかしかったです。後半25分、累積警告から明けたニウドが京都のファウルを受けましたが、審判はこれをスルー。疲労が見られた事もあり、怒ったニウドの頭を冷やさせようと三浦監督が交代させますが……」
ガー「ベンチに戻る途中、ニウドがボトルを蹴り飛ばしたりして不満を顔を出しちゃったから、審判がイエローカードを出しちゃったのよねえ。三浦監督の抗議も実らず、ニウドは無駄なカードを貰っちゃったわ」
ニコ「能力は高いんですけど、日本の審判の判定基準に慣れてませんね。まだ若いし、来日して一年も経っていないから仕方ありませんが……」
ガー「ニウドがいるだけでヴェルディの中盤は安定する、それくらい重要な選手になっているのよ。無駄なカードを貰わないよう、もう少し落ち着いてほしいわね」
ギア「というようなアクシデントがありましたが、後半は全体的に京都のペースでした。何度もゴール前に迫られますが、守備陣の奮闘と菜入選手の見事な判断力とセービングによってゴールを割らせません」
ガー「時間が経つに連れて京都の選手の方が焦って、リズムを崩していたわね。1-0というギリギリのスコアで、かなり長い時間攻められていたけど、京都の攻撃に怖さは感じなかったわ。ボールを上げてもゴール前の選手に合わせられなかったし、うちが苦手にしているセットプレイからの攻撃もイマイチだったし」
ニコ「京都が不調だったのではなく、ヴェルディが京都の好きにプレイさせなかったんでしょうね。ボールを奪われてもすぐに取り戻しにいっていたし、京都の得点源である大黒選手は徹底的にマークしていましたから」



ギア「5分という長いアディショナルタイムを、ヴェルディの若手達は強かに時間を稼いで切り抜けました。ヴェルディ、ホームでようやく2勝目です」


ガー「試合の後はゴール裏で、みんなで勝利のラインダンス! もちろん私も踊ったわ。何度やっても最高のダンスよね!」


ニコ「ダンスの後、メインスタンドに挨拶して他の選手達が引き上げた後、この試合を無失点で抑えた菜入選手がゴール裏に来てくれて、今後の奮闘を約束してくれました」
ギア「彼がここまで使えるとは予想外でしたが、第4GKのポープ・ウィリアムはまだプロ1年目の若手で、さすがに頼れません。菜入選手が怪我をしたらヴェルディは終わりです。お体を大事にしてください」
ガー「さて、後半戦になって初めてヴェルディの試合を生で見たんだけど、えーと、私達ってヴェルディの試合を見たのよね? 今年のヴェルディってこんなに強かったっけ? 一瞬本気でそう思うくらい強くなっててビックリしたわ」
ニコ「J2でもトップクラスの選手を揃えた京都と互角、いやそれ以上に渡り合っていました。そして見事な無失点での完勝。本当に別のチームみたいになりましたね」
ギア「三浦監督はここまで辛抱強く若手を育ててきましたが、それがようやく実を結んだようです。ですが19位群馬との勝ち点差は4。次の試合に勝っても20位のままですね。更に次の相手は、これまた相性の悪い岡山。しかも現在16戦無敗と絶好調なので、今までのようには行かないでしょう」
ガー「それでも私達に出来る事は応援だけ。岡山には行けないけど、東京でとことん応援してやるわよ、せーの、」
ギア「ちょっと待て。岡山には行けない、だと……?」
ガー「ええ、仕事の都合でどうしてもね。それにこの時期って飛行機代もホテル代も高くなるし。同じ理由で来週の大分戦にも行けないわ」
ギア「そ、そんな馬鹿な、ファジフーズが、大分名物のとり天や関サバや関アジが食べられないなんて、そんな、そんな……」
ニコ「ヴェルディが敗けた時よりもショックを受けてますね」
ガー「ギアちゃんは相変わらず大食いキャラなのね。明日、食べ放題に連れて行ってあげれば元に戻るでしょ。気を取り直して、せーの、」
2人「「頑張れ、東京ヴェルディ!」」
ギア「ファジフーズが……大分の海の幸、山の幸が……ブツブツ、ブツブツ、あ、ヴェルディ乙。ブツブツ……」