いよいよ今日からJ2リーグが開幕。2016年の東京ヴェルディの戦いが始まります。
相手はコンサドーレ札幌。チーム名を「北海道コンサドーレ札幌」に改め、今年こそJ1に昇格しようと気合を漲らせているとの事です。
去年は札幌には1勝も出来ず、それどころかこちらのホーム戦では小野伸二に日本復帰後初ゴールを献上して悔しい敗戦を喫しました。あの時の借りを返したいものです。
今回もいつも通り味スタでガーネット・バーネットとニコさんと合流する予定だったのですが、妙な奴に見つかってしまいました。
「ん、貴様は確か俺のクラスで一番根暗な女だったな。日曜の朝早くから出歩くとは、どこに行くつもりだ?」
この礼儀知らずな男の名は王道院王牙。親のネーミングセンスを疑ってしまう上、頭が痛くなる名前ですが、本名なのでなんだから仕方ありません。
頭が痛くなるのは名前だけのせいではありません。この男、自分の事を「王になる男」だと本気で考えており、傲岸不遜で礼儀知らず、天上天下唯我独尊という言葉が人間になったような男です。ぶっちゃけ私の一番嫌いなタイプの人間なのですが、
「ちょうどいい、俺も今日は暇だったのだ。出掛けるのなら俺も連れて行け。退屈しのぎぐらいにはなるだろう。ああ心配するな、金なら俺が出す。それぐらいならばアルバイトで稼いでいるからな。夜勤のコンビニバイトはなかなか面白いぞ、はっはっはっは!」
王と名乗る割には実家はあまり裕福ではなく、新聞配達やアルバイトをして家計を助けています。こんな風に妙なところで庶民的なので、バカだと思うけど憎めないという厄介な男です。
「何、サッカーの試合を見に行くだと? 意外だな、お前はスポーツには興味が無い女だと思っていたぞ。面白い、俺も見に行こう。実は俺もスポーツを生で見るのは初めてだ。よろしく頼むぞ、はっはっはっはっは!」
……私が答えを出す前に、この男と一緒に行くと決まったようです。
こうして王道院王牙と私の奇妙な縁は始まりました。みんなから影では王を名乗るバカ、王バカと呼ばれている王牙と、クラスメイトからまったく相手にされていないというか無視している私。クラスの異端児同士、傍から見たらどう思われるのやら。
ガー「ギアちゃん、久しぶり~。今年もよろしくねって、そっちの子は誰? えっ、もしかしてギアちゃんの彼氏!? ダメよ、絶対にダメ! ギアちゃんは私のものなんだから!」
誰がいつ貴方の所有物になったんですか。ニコさんも笑ってないで、この馬鹿女を止めてください。そこの自称王様も高笑いしないでください。ああ、私の周りは馬鹿ばかりだ。
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ヴェルディの開幕戦前、ギアボルトの手記より
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