ガーネット(以下ガー)「さあ、2016年シーズンの始まりよ! 今年も東京ヴェルディの試合感想は私達が語らせてもらうわ」
仁虎(以下ニコ)「今年のJ2は栃木SCと大分トリニータがJ3に降格し、代わって町田ゼルビアとレノファ山口FCが昇格してきました。またJ1からは松本山雅とモンテディオ山形、そしてこれが初の降格となる清水エスパルスがやって来て、去年以上の大混戦が予想されます」
ギアボルト(以下ギア)「ヴェルディは今年の目標を昇格プレーオフ進出と掲げています。しかし去年急成長した三竿健斗が鹿島へ、3年間ヴェルディのゴールを守ってきた佐藤優也が千葉に移籍してしまい、中盤の要の中後雅喜は怪我が長引いているらしく開幕スタメンにも入っていません。厳しいシーズンになると思われます」
ガー「ヴェルディにはたくさんの新加入選手が入ったけど、私達も新メンバーを加えたわ。ギアちゃんのクラスメイトの王道院王牙君よ」
王道院王牙(以下オウ)「王道院だ。気軽に王と呼んで良いぞ。王の名の下に今年からサッカー観戦を始めた。初心者なので何も分からんが、よろしく頼む」
ギア「図々しいのか謙虚なのか、分からない挨拶をしますね。お金は大丈夫なんですか? チケットは私が年間パス特典で貰ったタダ券を上げますけど、飲食代までは払いませんよ」
オウ「うむ、はっきり言って私は貧乏だからな。財布に余裕は無い。なので飲み食いは我慢する。諸君らは気にせず食べて良いぞ。王とは寛大なものだからな」
ニコ「そう言われると、却って食べづらいですね……。ともあれ今年はこの4人でやっていきますので、よろしくお願いします」
ガー「今年最初の味スタ、天気は快晴。気温はちょっと寒いけど2月にしては暖かい方で、サッカーをするには良い天候だったと思うわ」
オウ「青い空は良い。青は王の色だからな」
ギア「貴方が好きな色を、世界中の王様が好きな色にしないでください。迷惑だと思いますよ」
オウ「ほう、風の噂ではヴェルディは不人気なチームだと聞いていたが、なかなかの人数が来ているではないか。結構結構」
ニコ「いえ、残念ですが、これは開幕戦だからですよ……。いつもの試合はこの半分ぐらいしか来てません」
オウ「そ、そうなのか。うむ、つまらぬ事を聞いて悪かった。王として反省しよう」
ガー「王様っぽく振舞っている割には、意外と謙虚なのね。面白い子だわ」
ギア「入口ではヴェルディ君と稲城なしのすけ、ごみゼロマンレッドとヴェルディが出迎えてくれました」
オウ「うむ、出迎えご苦労。しかしヴェルディ君とやらはもう少し体を絞った方が良いと思うぞ。スポーツチームのマスコットなら尚更だろう」
ガー「その辺は気にしないであげて。あの体型がヴェルディ君のチャームポイントだから」
ギア「時々スリムなヴェルディ君も現れますが、短期間ダイエットに成功したという事にしておきます。私も中の人には触れない優しさを身に付けました」
オウ「これがマッチデープログラムか。紙一枚の割にはなかなか充実した内容ではないか。主将の井林とやらがチームメイトからナマケモノやバラに例えられているぞ。ふふっ、面白い奴だな」
オウ「試合前にもイベントをやるのか。チアダンスと歌手の生ライブが見られるとは、なかなかのサービスではないか」
ギア「もっと凄いイベントをやっているチームもありますよ。それにイベントの規模はJ1の方が大きいですし」
オウ「そうなのか。だが、卑屈になる必要はなかろう。今、この場で私を楽しませているのはヴェルディなのだ。その比類なき功績を誇るべきであろう」
ギア「慰めになっているようでそうでもない感想、ありがとう。貴方はバカだけど面白い人ですね」
オウ「ふっ、褒め言葉と受け取っておこう。王は細かい事は気にしないものだ」
ガー「GKの柴崎貴広と大田岳志が練習に出てきたわ。2人とも背番号55のユニフォームを着てるけど、去年の8月に脳腫瘍で亡くなったけど、VERSの一員になった岩田和麿くんの背番号なの」
ニコ「VERSはサポーターがチームの選手を体験できるという画期的なサービスです。こういう形で選手に応えてもらえるなんて、和麿くんも天国で喜んでいるでしょうね……」
オウ「……………………」
ギア「おや、涙ぐんでますね。もしかして泣いてますか? 王様なのに」
オウ「う、うるさい。王とて泣く時には泣くのだ。良き話は王の心をも動かすのだ」
ガー「開幕戦という事で、札幌のサポーターもたくさん来ていたわ。試合前にはこんな弾幕を掲げて、選手に気合を入れていたわ」
オウ「『共に泣き共に笑ったこの20年間は俺達の人生そのもの。この先も俺達は札幌と生きる。』『2016年、歴史に残る1年にしよう』か。なかなか良い事が書いてあるではないか。敵ながらあっぱれだな」
ニコ「ここに書かれているようにコンサドーレ札幌は今年でチーム設立20周年、チーム名を「北海道コンサドレー札幌」に改めて、今年こそは昇格しようと意気込んでいます。小野伸二や稲本潤一、都倉賢など去年の主力を留めて、マセードやジュリーニョなどの新外国人を加えました」
オウ「小野と稲本の名前は聞いた事があるぞ。彼らは札幌に居たのか」
ギア「ええ。小野には去年の味スタで、見事過ぎるシュートを決められて敗れました。また札幌は開幕戦に強く、3年連続で勝っています。そしてヴェルディは逆に開幕戦に弱くて、2012年の松本戦から勝ってません」
ガー「懐かしいわ。あの試合が私達のサッカー初観戦だったのよねえ。あれからずっと開幕戦に勝ってないなんて、改めて気付かされてショックだわ……」
ニコ「そして去年8月の讃岐戦以来、ヴェルディはホームでは勝っていません。シーズンが始まる前の練習試合での成績も良くなく、新選手達の能力は未知数。正直、期待より不安の方が強かったです」
オウ「ふむ。だからゴール裏はこの写真のように札幌の方が人数が多かったのか。今年の東京ヴェルディはあまり期待されていないのだな」
ガー「言い難い事をズバッと言うわね。確かに事前の評価は高く無いし、サポーターの数もあまり多くはなかったわ。でもその分、みんなで熱い応援をしたのよ!」
ニコ「札幌もヴェルディも試合前にビッグフラッグを出して、選手を鼓舞しました。開幕戦ではお馴染みの光景ですね」
ギア「なおこの日の入場者数は9,272人でした。札幌サポがたくさん来てくれたので1万人は超えたと思ったんですけど、残念です」
ガー「期待と不安が入り混じって始まった札幌戦、結果は私達にとっては最高のものだったわ! 試合の公式記録はこっちを見てね」
ギア「試合は序盤からヴェルディのペースでした。時折ハラハラさせられる場面はありましたが、札幌の選手の動きはあまり良くなく、逆にヴェルディの選手達は見事なまでに躍動しており、チームの仕上がりの差が如実に出ていたかと」
ニコ「新加入選手の活躍も大きかったですね。船山祐二選手と高木純平選手は中盤の底を安定させてくれたし、ドウグラス選手は凄く動いていました。最後のチャンスを決めていたら、今回のマン・オブ・ザ・マッチは彼だったでしょうね」
ガー「そして何と言っても、貴重な得点を決めてくれたアラン・ピニェイロ! 今年から正式にヴェルディに移籍して、途中交代という難しい入り方をしたのに見事なシュートを決めてくれたわ!」
ニコ「決めた後はゴール裏に来て、仲間と抱き合っていました。アラン選手は去年に続いてヴェルディの初ゴールを決めましたね。去年は3得点でしたが、今年は2桁取ってほしいです」
ギア「札幌は最後にはGKも上がって猛攻を仕掛けますが、5分という長いATを凌いだヴェルディが勝利。4年ぶりの開幕戦勝利を飾りました」
ガー「試合後には冨樫監督や井林キャプテン、そしてアランのインタビューをやったわ。アランはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれてご満悦だったわね」
ニコ「インタビューの後は選手達が観客席にまで来てくれてハイタッチ、そして勝利のラインダンスをしました。この光景も久しぶりですね」
ガー「これは何度やっても嬉しいイベントよね。職員さんは大変だろうけど、今年は去年よりたくさんダンスしたいわ。あら、王道院君どうしたの? さっきから黙っているけど」
オウ「……あの試合の興奮を思い出していたのだ。アランがゴールを決めた瞬間、ゴール裏の空気が一瞬で変わり、皆が喜びで包まれた。ヴェルディの選手に詳しくない私でさえ嬉しくなったのだ。熱心なサポーターなら尚更であろうな」
ギア「ええ。あの瞬間だけは私もテンションが上ります」
オウ「お前がサッカー観戦に嵌った訳が分かった。応援しているチームが勝利すれば誰でも嬉しいものだろうが、サッカーの場合はその喜びが桁違いのようだな。気に入ったぞ、今日から私もヴェルディのサポーターになろう。ヴェルディの選手達よ、王となる男が見ているのだ、不甲斐ない戦いをせぬよう精進せよ!」
ガー「あらら。私達がサッカーに嵌った時もこんな感じだったわね」
ニコ「そうですね。ようこそ、王道院君。新しい仲間が増えるのは大歓迎です」
ガー「じゃあ彼の面倒はギアちゃんが見てね。クラスでも仲良くしなさいよ」
ギア「えっ」
オウ「うむ、よろしく頼むぞ。さあて、今年は忙しくなるぞ。チケット代を稼ぐ為にもバイトを増やさなければな! ははははははは!」
ギア「………………あの王バカの面倒を見る羽目になるとは、何という不運。ガーネット・バーネットといい、私を振り回さないでください。あとヴェルディは開幕戦に勝ったからと言って油断しないように。次の相手の讃岐も横浜FCに勝っており、油断できない相手です」
ガー「讃岐戦は私とニコが現地に行って応援するわ。本場の讃岐うどんを食べて絶対に勝つわよ! 王道院君も一緒に、せーの、」
オウ「む? お、おう、せーの、」
4人「「「頑張れ、東京ヴェルディ!!!!」」」
オウ「ふうむ、これもなかなか良いものだな。サッカーとは実に面白いスポーツだ、はっはっはっは!」
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東京ヴェルディvs北海道コンサドレー札幌 新キャラと一緒に4年ぶりの開幕戦勝利を祝います
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