ガーネット(以下ガー)「熊本、そして岐阜に大苦戦した東京ヴェルディ。降格寸前のこの2チームに対して勝つどころか引き分けるのがやっとという醜態を晒したわ」
王牙(以下オウ)「尻に火が点いたチームの底力を舐めていたな。熊本戦も岐阜戦も、自分達のミスで試合を難しくしている。話にならんな」
仁虎(以下ニコ)「何とか6位に留まっているけど、自動昇格できる2位以内を目指すのなら、これ以上は負けられない。ううん、引き分けも駄目だ。栃木SCとの試合は勝利しか求めない」
ギアボルト(以下ギア)「そんな断固たる決意を胸に、ヴェルディのサポーターは栃木県グリーンスタジアムに乗り込みました。栃木SCがJ3に降格していたので、3年ぶりの訪問になります。一枚岩チキンを食べられる日を楽しみにしていました」
ガー「3年ぶりのグリスタだけど、今回私達はヴェルディのスポンサーであるATHLETAが企画したバスツアーで向かったわ。200人以上が申し込んだ狭き門を突破した時は嬉しかったわね。栃木までの電車代、結構掛かるし」
ニコ「だけどこの週末、日本には台風24号が上陸してしまい、各地のイベントは続々と中止に。Jリーグも町田vs讃岐戦と徳島vs甲府戦が中止になったんだ」
オウ「試合を楽しみにしていたサポーターは残念だろうが、こればかりは仕方がない。台風が直撃しなかった東京でさえ激しい雨と風に襲われ、JR線の運行が午後8時で終わるという異常事態になったのだ。サッカー観戦で命を落とすなど、本末転倒であろう」
ギア「ヴェルディの試合も開催が危ぶまれましたが、関東に台風が迫るのは深夜という事で、無事に行われる事になりました。試合当日は曇り空に覆われ、時折小雨が降りましたが、大雨にはなりませんでした。ラッキーでしたね」
ガー「それでもグリスタのピッチコンディションは悪かったけどね。写真ではよく分からないかもしれないけど、素人目から見ても芝生がボロボロよ。これじゃあ野原で試合をするようなものでしょ」
オウ「これでも冬芝にして、少しはマシになったそうだぞ。シーズンが終わるまではこの状態らしい。ヴェルディもそうだったが、グリスタで試合をする相手チームは苦労させられそうだな……」
ニコ「栃木SCのマッチデープログラムだよ。クリアファイルも貰っちゃった」
ガー「栃木SCにはヴェルディからフタさんこと二川孝広選手がレンタル移籍してるの。ヴェルディ戦には出られないけど、応援幕があるから栃木サポからも愛されているみたいね。サイン会も盛況だったみたいで安心したわ」
ギア「栃木のスタ飯ですが、私が楽しみにしていた一枚岩チキンは売ってませんでした……。ガックリしましたが、餃子と宇都宮焼きそばは美味しかったです。餃子は300円、焼きそばは600円。お手頃な価格なのも嬉しいです」
オウ「猿のような奴が栃木SCのマスコット、トッキーだ。隣りにいるのは下野市のマスコットのカンピくんだそうだ。ヴェルディのゴール裏にも来てほしかったぞ」
ニコ「この試合は風と緑の認定こども園スペシャルマッチ、そして下野市民デーとして行われたんだ。認定こども園の園長さんと、下野市の市長さんが来てくれたんだ。試合の後は下野市に観光に来てほしいって言ってたけど、僕達はバスツアーだから無理です、ごめんなさい」
ガー「試合前には両チームの選手によるリスペクトフェアプレー宣言が行われたわ。ヴェルディからは井林が出てくれて、棒読みだけどちゃんと宣言してくれたわよ」
ギア「この日の観客は3,950人。台風が近づいているにしては、よく来てくれた方ではないかと。ヴェルディサポもたくさん来てました」
ガー「そうね。だけど栃木のゴール裏、3年前より人が減ってるわね。J2に復帰したのに一度離れた人は戻ってこないのかしら? 残念だわ…」
ガー「じゃあ、ここからは試合の感想。舐めてかかった訳じゃないでしょうけど、ヴェルディは栃木に大苦戦したわ」
ニコ「前半は完全に栃木のペースだったね……。ボール支配率ではヴェルディが上回っていたけど、すぐにボールを取られたり、つまらないミスをしたりで思うようなプレイが全然出来なかった」
ギア「逆に栃木は、5パックを取り入れてから安定した守備を頼りに、ヴェルディの反撃を恐れずに攻め込んできました。どちらが上の順位なんだか分からない、ヴェルディが大量失点して負けてもおかしくない試合でした」
オウ「以前、味スタで倒した栃木とは全く別のチームだったな。加えて栃木はこの試合まで、2タテされたのは岡山のみという事でヴェルディへのリベンジに燃えていたらしい。大黒の積極的な攻撃も頷ける、いや、あの男はどこが相手でもああいうプレイをするのだったな。あれで38歳とは信じられん」
ガー「後半はポジションを変えたり、積極的に選手交代をする事で五分の流れにしたわ。それでも栃木の方がチャンスが多くて、上福元を始めとする守備陣が何とか防いでくれたわ。これは良くて0-0の引き分けかな……と覚悟していたの。だけど!」
ギア「後半の終了間際、梶川のコーナーキックは絶妙な高さのボールを出し、それにノーマークだった林陵平が見事に頭で合わせて先制! 讃岐戦以来のゴールとなる林の一弾は、そのまま決勝点になりました。あ、これがこの試合の公式記録です」
オウ「あの得点までヴェルディのゴール裏には悲壮感が漂っていたのだが、それを見事に吹き飛ばしたな! 低迷していたヴェルディを救った得点として、今シーズンのベストゴールに選んでも良いぞ!」
ニコ「得点をした時は喜び過ぎて、ヴェルディの選手達が抱き合うシーンを撮り損ねたけど、試合後にゴール裏に来てくれた陵平選手は撮ったよ。来年はJ1でヴェルディの選手としてプレイしよう!」
ガー「これでヴェルディは5位に浮上。残り7試合で2位大分との勝ち点差は3。射程距離に入ったわね」
オウ「だが、この先一度でも負ければ2位以内どころか、6位以内にも入れんだろう。今回の勝利に浮かれる事なく、この試合での問題点を洗い出して対策し、次の甲府戦も勝たなければな」
ギア「夢をまだ見れるのか、それとも次節で潰えるのか。甲府戦が盛り上がるのは間違いありませんね」
ガー「ええ、どうせなら最後まで盛り上がって、ヴェルディのJ1昇格を見届けましょう! せーの、」
4人「「「「頑張れ、東京ヴェルディ!!!!」」」」
ニコ「グリスタに入場した時、スタッフの方からゴミ袋を貰ったんだ。試合後に雨が激しくなったんだけど、この袋のおかげで荷物を濡らさずに済んだよ。この場を借りて、栃木の人達の気遣いに感謝します」